浦和地方裁判所 昭和５４年（わ）１０６２号 判決
本店の所在地
埼玉県浦和市北浦和四丁目一番九号
株式会社 ハンサム
代表者の住居
同市大字上木崎六〇七番地三
代表者の氏名
藤森英雄
本店の所在地
同市常盤町九丁目一七番一二号
株式会社銀座
代表者の住居
同市大字上木崎六〇七番地三
代表者の氏名
藤森英和
本籍
同市元町三丁目七四番地
住居
同市大字上木崎六〇七番地
会社役員
藤森英雄
大正一四年一月二三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官菅井利夫出席のうえ審理を遂げ、次のとり判決する。
主文
被告人株式会社ハンサムを罰金八〇〇万円に
被告人株式会社銀座を罰金八〇〇万円に
被告人藤森英雄を懲役一年に
各処する。
被告人藤森英雄に対し本裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
（罪となるべき事実）
被告人株式会社ハンサムは、埼玉県浦和市北浦和四丁目一番九号に本店を置き、被告人株式会社銀座は、同市常盤町九丁目一七番一二号に本店を置いて、いずれも理容業・美容業等を営業目的とするもの、被告人藤森英雄は、株式会社ハンサムの代表取締役及び株式会社銀座の取締役で同会社の実質上の経営者として、右両会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人藤森英雄は
第一 被告人株式会社ハンサムの業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空の給料を計上して簿外に仮名の預金を蓄積する等の不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ
一、昭和五〇年七月一日から昭和五一年六月三〇日までの事業年度において、同被告人会社の実際所得金額が七、〇三六万六三一二円で、これに対する法人税額は二、七一一万四七〇〇円であるのにかかわらず、同年八月三〇日、同市常盤四丁目一一番一九号浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、八七六万二一四八円で、これに対する法人税額は六四七万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の正規の法人税額二、七一一万四七〇〇円との差額である法人税二、〇六四万一六〇〇円を免れ
二、 昭和五一年七月一日から昭和五二年六月三〇日までの事業年度において、同被告人会社の実際所得金額が六、八八三万八五七五円で、これに対する法人税額は二、六四六万七七〇〇円であるのにかかわらず、同年八月三〇日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八一一万二三二六円で、これに対する法人税額は一、〇一七万七三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の正規の法人税額二、六四六万七七〇〇円との差額である法人税一、六二九万四〇〇円を免れ
第二 被告人株式会社銀座の業務に関し、法人税を免れようと企て、前同様の手段、方法により所得の一部を秘匿したうえ
一、 昭和五〇年九月一日から昭和五一年八月三一日までの事業年度において、同被告人会社の実際所得金額が四、三六三万五九六円で、これに対する法人税額は一、六五八万九二〇〇円であるのにかかわらず、同年一〇月二九日前記浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七二八万九四九円で、これに対する法人税額は二〇四万九二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の正規の法人税額一六五八万九二〇〇円との差額である法人税一、四五四万円を免れ
二、 昭和五一年九月一日から昭和五二年八月三一日までの事業年度において、同被告人会社の実際所得金額が六、三二六万七五九二円で、これに対する法人税額は二、四四一万八二〇〇円であるのにかかわらず、同年一〇月二八日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九三八万七六五七円で、これに対する法人税額は二八六万六二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の正規の法人税額二、四四一万八二〇〇円との差額である法人税二、一五五万二〇〇〇円を免れ
たものである。
（証拠の標目）
判示全事実につき
一、 被告人藤森英雄の当公判廷における供述
一、 同被告人の大蔵事務官に対する昭和五三年五月三一日付、同年六月一日付、同月六日付、同月一二日付、同月一九日付、同月二〇日付同年七月二一日付、一一月六日付、同月二二日付、昭和五四年五月三一日付、同年六月二日付、同月六日付、同月一一日付、同月二七日付、同月二八日付、同年七月二日付、同月四日付及び同月五日付各質問てん末書
一、 同被告人の検察官に対する供述調書六通
一、 同被告人作成の昭和五四年六月八日付（二通）、同月五日付、同月六日付、同月一二日付各答申書
一、 同被告人作成の「給料（賞与）の水増しについて」と題する書面
一、 藤森英和の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、 同人の検察官に対する供述調書
一、 登記簿謄本二通
一、 三ツ石雅治、渡辺弘、柳沼ゆき子、鈴木キミエ、有賀今朝一、三浦澄子（六通）松本春美、及び忰田哲美（二通）の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、 三浦澄子及び松本春美の検察官に対する各供述調書
一、 忰田哲美作成の証拠品提出書
一、 忰田哲美（二通）、江原安行（二通）、坂野寿夫、綱島春夫、若月修寿、蓮美弘一、山岸清人、岩下郁男作成の各答申書
一、 大蔵事務官作成の東京相互銀行浦和店、ときわ相互銀行与野支店、埼玉銀行北浦和支店、埼玉県信用金庫浦和支店、太陽神戸銀行浦和支店、岩槻市農業協同組合各調査関係書類
一、 押収の預金メモ三綴及び株式会社ハンサム定款ほか一綴（昭和五四年押第三三一号の七、八、一四、二〇）
判事第一の各事実につき
一、 被告人藤森英雄の大蔵事務官に対する昭和五三年九月二五日付、昭和五四年六月七日付及び同月一三日付各てん末書
一、 同被告人作成の昭和五四年六月七日付、同月一五日付、昭和五三年一一月一三日付及び昭和五四年六月四日付、同月一四日付及び同月九日付各答申書
一、 同被告人作成の上申書
一、 大蔵事務官森村貞次郎作成の脱税額計算書二通
一、 大蔵事務官作成の売上除外金額、除外店舗管理預金、給料、福利厚生費、共助会関係、水増旅費交通費、消耗品費、通信費、水道光熱費、組合費、地代家賃、新潟店譲渡関係、雑費、架空退職金、簿外預金及び支払利息、雑収入、簿外借入金及び支払利息、貸倒損失、未納事業税各調査書（昭和五三年三号事供の分）
一、 横川実、関口秀夫、島村和江、井関範子、菅沼信子、加藤進、越田衛、鈴木信江、鈴木重光、岡村雅博、加藤秀輝、前山初男（二通）、尾上富男作成の各答申書
一、 大蔵事務官作成の東京相互銀行高島平店、常陽銀行戸頭支店、太陽神戸銀行北浦和店各調査関係書類
一、 検察官作成の報告書
一、 浦和市長職務代理者助役田中和夫作成の不在住請明書四通（高柳茂、坪川広子、田中勉、加藤重正の分）
一、 住民票謄本（石川昭博の分）
一、 前山初男、小島兼男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、 浦和税務署長関本正勝作成の証明書二通（株式会社ハンサムの分）
一、 浦和税務署長湯本武作成の証明書三通（株式会社ハンサムの分）
一、 押収の法人税申告書綴一綴、総勘定元帳二冊、賃金台帳三綴、出張命令簿綴二綴、退職金計算書綴一綴（同押号の一、三、四、九、一〇、一一、一五、一六、一九）
判示第二の各事実につき
一、 被告人藤森英雄の大蔵事務官に対する昭和五四年六月一二日付質問てん末書
一、 同被告人作成の同年六月一二日付答申書
一、 大蔵事務官野原哲夫作成の脱税額計算書二通
一、 萱森三紀義、山口恵靖の検察官に対する各供述調書
一、 山口恵靖の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一、 大蔵事務官作成の売上除外金額、給料、福利厚生費、共助金関係、水増旅費交通費、消耗品費、雑収入雑費、未納事業税各調査書（昭和五三年四号事件の分）
一、 打田章、萱森三紀義、庄司義一、鈴木ミキ江、鈴木平栄門、武笠定三、斉藤君秋作成の各答申書
一、 浦和市長職務代理者助役田中和夫作成の不在住証明書（伊藤広行の分）
一、 浦和税務署長、関本正勝の証明書二通（株式会社銀座の分）
一、 浦和税務署長湯本武作成の証明書三通（株式会社銀座の分）
一、 押収の法人税申告書綴一綴総勘定元帳二冊、給料台帳一綴、賃金台帳一綴、出張命令簿綴二綴（同押号の二、五、六、一二、一三、一七、一八）
（法令の適用）
判示各所為につき 法人税法第一五九条、懲役刑を選択
被告人株式会社ハンサム、同銀座については更に同法第一六四条第一項
罰金額の合算につき 刑法第四八条第二項
併合罪の加重につき 刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条、判示第二の二の罪の刑に加重
刑の執行猶予につき 同法第二五条第一項
よって、主文のとおり判決する。
（裁判官 高井清次）